月見草と海

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ネオロマと石原夏織が好きなだけの社畜

蛇香のライラ 第二夜 アジアン・ナイト感想

第二夜 アジアン・ナイト

*後半相当ヘイトが溜まっているのでご注意下さい

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あらすじ

鱗帝国の皇太子――“鱗 皇驪”
鱗帝国の太子――“鱗 希驪”

広大な領土を有する鱗帝国の跡継ぎの二人は、腹違いの兄弟だった。
皇太子・皇驪は穏やかで人徳が厚く、その弟・希驪は誰とでも親しくなれる気安さがあった。
二人は皇太子の妃候補と共に、『世界次世代指導者会議』へ出席すべくシャナーサ王国へやってくる。

――会議開始前日の昼。
たまたま訪れたシャナーサ王国の市場で、
皇驪は愛読書『白蛇伝』の主人公”白娘子”を象ったかのような女性と出会ってしまう。

「そなたは、白娘子! ようやく会えた。私の運命の人――」
――その日の夜。

運命的な出会いにより骨抜きになってしまった兄が
会議で失態を犯すのではと心配した弟・希驪は、単身『白娘子』を探しに行く。
たどり着いたのは、《ショーサロン・カマル》
店主に声をかけられ、あれよあれよのうちに“舞妖妃”に依頼をすることに。

「……こう兄のことを誘惑して、その後手酷くフッてやってよ。
あの『白娘子』信者に、現実を見せてやりたいんだ。
純愛なんてこの世にはないんだっていう現実を、ね」
女の愛し方が奇異なターゲットと、女の愛し方が軽薄なクライアントとのアジアン・トライアングル

寵愛の遊戯に耽けるのは誰か――

(公式サイトより)


鱗 皇驪

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前半、誘惑すると興奮しながら拘束して桃を食べさせてくるというど変態イベントでドン引きしたので正直「ないわ」と思っていたにも関わらず、まさかの後半、怒涛の追い上げで今作ぶっちぎりのトップに躍り出た皇驪さん

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彼がシャナーサを経つ前にこっぴどく振ると「実は途中から白娘子としてじゃなくてシリーン本人を見て惹かれていた」事が判明してこの人頭のイッた馬鹿じゃなかったのか!と気付かされる訳です。私たちは完全に彼の掌の上で転げ回っていたのですね。

 訳あってその後、皇后に誘拐され媚薬を盛られた所で(?)うっかり兵士を誘惑すると(?)分岐BAD「幸福な御伽噺」に行き着きますが、これも相当良かった。兵士とシリーンを見て絶望した皇驪がシリーンを「白娘子」として完全に調教して完璧な白蛇伝を完成させようとするシナリオで、興津の「静かな狂気」が滲み出た演技が素晴らしくて拍手喝采でした。

 

 まあここで頑張って逃げ出すと皇驪と一夜を過ごしたのちに既成事実で皇太子妃にされるトンデモシナリオが展開するのですが、ここからの皇驪さんが、ほんとにもう、、、

勝手に皇太子妃になったシリーンを暗殺しようとする皇后に「僕はママが心配する程子供じゃないから、彼女が裏社会の密偵だって知ってて利用する為に結婚したんだよ」的なニュアンスで説得するのですが、この部分の何が良かったって、「シリーンを利用する」下りがハッタリではなかった事。

皇驪は皇后が後宮で何か悪事を働いている事に何となく気付きながらも男の身では後宮に入れないので手を拱いていて、「シリーンなら王宮にいればいずれ後宮の噂を知って全貌を突き止めてくれる」と踏んでいたんですよね。

シリーンを全力で愛しているからこそ彼女の聡明さや密偵としての過去を丸ごと受け止めて信じられる皇驪さん、貴方はきっと素晴らしい皇帝になるよ。

 

 実際、後宮では嫁いだ娘が誘拐されて闇オークションで売られていき、そのお金で皇后は美男子の宦官を雇って夜の相手をさせていて。

最後は希驪と共に企みを暴いた上で、母親である皇后の心もきちんと救ってハッピーエンドです。

 

おまけで

BAD END2「人魚姫と壊れた皇帝」

暗殺でシリーンを失いかけた皇驪は自分と彼女を引き離すもの全てを拒んで二人きりの世界に閉じ籠もってしまい、崩壊した国で起きた反乱で2人は死にゆく。

 最後水中で手を取り合って消えちゃう2人のスチルがとても綺麗でした。

 

麟 希驪

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兄弟でこの差はなんだというぐらいぶっちぎり断トツ最下位の希驪。ライターさん皇驪ルートで力尽きちゃったのかな。

共通ルートの間は兄の倒錯ぶりが突き抜けてた結果、「ちょっとチャラいけど兄想いの普通の人」枠の希驪は悪くないと思っていたのですが、本人√に入っていざ恋愛色が強くなると、希驪にもヒロインにもこんなに苛々する事になるとは想像だにしませんでした。

 

希驪は最初ヘナタトゥーでシリーンに誘惑されてから自分も気になる→アプローチ→シリーンに冷たくかわされる→追っているうちに本気になっちゃう

というシナリオで、ヴィンスと同じくヘナタトゥーの誘惑から惹かれたキャラクターですが、ヴィンス以上に希驪くんには圧倒的に「シリーンでなくてはいけない」要素の紐付けが弱かった。

まさに恋は盲目で、希驪が再三囁いてくる愛の言葉の半数が「君は優しすぎる」「君みたいな子初めて」「俺が本気にならないように冷たくしてくれたんでしょ」etc…といった感じで、ついには「仕事なんだからドライにやってもいいのに、本気でこう兄の心配してくれる、優しすぎる」とお願いだから寝言であって欲しいレベルの妄言を連ねてきます。いや、仕事だからこそ真摯に取り組んでいるのでは???

 シリーンの方も、大型犬が如く尻尾ふって追いかけてくる希驪が、ただ軽薄なのではなく、優しすぎて女の子達を無下にできないのだと知り恋に落ちるんですが、この希驪の本質が本ゲーム最大級の地獄に繋がる訳です。

 

 私は冒頭で「希驪√がぶっちぎり最下位」と申し上げましたが、その圧倒的原因が「美蘭ちゃん不遇すぎ」問題です。

乙女ゲームで脇の女性キャラクターが散々な扱い受けるのはままある光景ですが、その中でも希驪√の美蘭ちゃんは酷かった。

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美蘭ちゃんは皇驪√で「後宮に嫁いだ姉を助ける為に本当は希驪の事が好きなのに、皇驪の婚約者となった」健気な女の子だと判明します。それ故に、こちらのお話では希驪をシリーンに奪われた事で心が折れてしまって自殺未遂からのシリーン殺害未遂、最後は王宮に放火と人質立て篭りと怒涛の犯罪コンボを決めてラスボス化します。

 以下過激派美蘭擁護解説になりますが、元来美蘭ちゃんは気弱で優しい女の子である事が共通パートで伺えますし、正式に皇太子妃候補に選出されている訳ですから相当な家柄のお嬢様である事は想像に難くありません。

 気弱な深窓の令嬢が姉を助ける為に1人危険な王宮に飛び込むーーってこれもう美蘭ちゃん主人公で第6王子まで出して乙女ゲーム作れますし、何なら怪しい技で男を誑かすシリーンの方が当て馬悪女枠です。

更に畳み掛けますが、このルートのシリーン、どうも女心への理解が皆無なんですよ。

 シリーンといういわば水商売の女に希驪を取られた事を知ってメンヘラスイッチが発動した美蘭ちゃん(彼女はある本のサブリミナル効果で思考操作がされてるのでメンヘラは美蘭ちゃんのせいではないです)は手首切って引き篭もってしまうんですが、「美蘭の気持ちには応えられないと言ってから、会いに行くたびに泣かれてしまう」と愚痴った希驪に、シリーンってばなんと「私が美蘭様の話し相手になりましょうか?」と火にガソリンガンガンぶち込んできます。

ここで絆されずに美蘭ちゃんを振った希驪はいい、まだ許す。ただシリーンはほんとにどうしてそうなった。そりゃ刺されるだろ。

ストーリー上、終盤でシリーンが美蘭ちゃんに「希驪のどこが好き?」と聞いてヒロインマウントを取ってくる地獄イベントが発生するのですが、その際、美蘭ちゃんは「希驪様はお花をくれた。お花をくれて優しくしてくれるなんて好きになっちゃうに決まってるじゃない!」と言うんですよ。私は泣きました。

恐らく美蘭ちゃんは宮中に入っても、結婚相手の皇驪は「白蛇伝信者の変態」で婚約者として認めてくれないし、そうしてる間にお姉さんが消えてしまうかもしれないし……って相当高ストレス下で辛かったはずなんです。そんな時にイケメンが優しくしてくれたら好きになりますよね??

 

やっぱり全面的に希驪が悪いと思う

 

 

正直まだまだヘイト溜まってるんですが、こうなったのも恐らく私が先に皇驪√で美蘭ちゃんの事情を知ってしまったからだと思うので、これからプレイする方には希驪√からのプレイをオススメします!