月見草と海

月見草と海

ネオロマと石原夏織が好きなだけの社畜

蛇香のライラ〜Trap of MUSK〜 総評&第一夜感想

 

蛇香のライラ ~Trap of MUSK~ - Switch
 

 


PC版のPVをたまたま見て以来アラブ風の妖艶で退廃的な雰囲気に惹かれてずっと気になっていて、谷山紀章もいる事だしいつかプレイしようと思って温めていた作品です。

 

総評

シナリオ

PC→Switchの移植版という事で別々に発売された3本が1つに纏まっているので、順番に物語を紐解いていく展開がまさにアラビアンナイトのようで楽しかったです。

シナリオがエグくて重い分、一夜辺り2〜3時間で読み切れる分量で胃もたれせず適量だと感じました。それと、個人的に苦手な性描写、というか乙女ゲームでまま見られるリップ音多分なラブシーン、がほぼなかったのがかなり有り難かったです。官能がテーマの作品なのでスキップ機能で自衛するつもりでしたが、実際主人公のモノローグ2行くらいで伝えてくれるので助かりました。ただ、逆にそういったシーンを期待してプレイすると拍子抜けかもしれないです。

 

システム

 最近のオトメイト作品をプレイしていないので存じ上げない部分も多いのですが、巻き戻し機能に加えて未読・選択肢スキップが入っているのが周回時かなり快適でした。

セーブも夜毎に分けられていて良かったんだけど、正直そんなに必要なかったかなという印象。笑

プレイ後は分岐バッドエンド含めてギャラリーで再生できるのが便利でしたし、そうなるとやはりセーブ数そんなにいらなかった……

それと、システム面かは怪しいですが、個人的にBGMが良かったです。密偵として国を跨ぐ描写のある作品上、各国毎に雰囲気の違うサウンドですと、今いる場所の臨場感がありましたし、中国風の音楽が好きなのでそれだけでアジアンナイト好きになりました。

 

 

ただ

(以下辛口です)

 

 

正直ヒロインに期待しすぎた、8割私が悪いです。

「ショーサロンの踊り子をする傍ら密偵としてターゲットの異性を誘惑して情報を引き出す蠱惑的なヒロイン」という設定から男を手玉に取るような強くて凛々しいヒロイン像を想像していたのですが、蓋を開けたら過半数のルートで「愛されるだけの美しく優しい女」だった上に、社会的地位の高い攻略キャラ達を前に「裏社会に生きる自分は相応しくない」と悲劇のヒロイン力をガンガンぶちかますそれなりの地雷主人公でした。

f:id:cocomarulip:20191018134642j:image

このヒロイン一枚絵は好きです。ヒロインにちゃんとスチルがあるゲームは良き良き。

 

 

 

以下、第一夜の感想になります。

PC版の時にネタバレ記事を読んでいたので

  • 店主の実験
  • シリーン、ジャミルが店主に洗脳されている事
  • 第一夜の真相

辺りはうっすら記憶にある状態でプレイしました。

 

 

第一夜 ヨーロピアンナイト

f:id:cocomarulip:20191017234821j:image

あらすじ

ルーガン王国の第一王子――“ヴィンス・ルーガン”

苛烈な冷酷さと蜂のような鋭利さを持つ第一王子は、
領土拡大のためなら手段を選ばないことで有名だった。

今回の『世界次世代指導者会議』が終われば、
軍国主義国家と名高いルーガン王国の国王に即位するという。
彼は、会議を前哨戦とするべく気を引き締めていた。
そんなヴィンス王子とは真逆に、羽を伸ばす気満々の側近。二人は共にシャナーサ王国へやってくる。

――会議2日目の朝。

前日夜に催された歓迎パーティーで飲みすぎた為か、
ヴィンス王子の目覚めは、爽快とはいい難いものだった。
だが、その気怠さもあっという間に吹き飛ぶ。
いつの間にか見知らぬ女が部屋の中に入ってきていたからだ。

「勝手に女を私の部屋に入れるな。不愉快だ」
睨みつけながらも、ヴィンス王子は自身に訪れた変化に戸惑っていた。
喉の渇きにも似た抗いようのない欲望が、自らの理性を蝕んでいくのを感じたから。

――時は遡って会議開催の1週間前。

《ショーサロン・カマル》にとある客が訪れた。
“舞妖妃”の本来の姿。密偵としての彼女に仕事を依頼するために。
攫われた妹を助けて欲しい。それが今回のミッションだった。

依頼人は“ロラン・クライデル”――亡國の第三王子だ。

「……ねえ。ようやく、君を助けることができるよ……」
女を愛したことがないターゲットと、女の愛し方が歪んでいるクライアントとの
ヨーロピアン・トライアングル

渇愛の生贄に壊れるのは誰か――

(公式サイトより)

 

全体ストーリーとしては、ヴィンスを誘惑してロランの妹パメラの情報を探りつつ、一緒に城に潜入したロランのお世話をしていると、ヴィンスの親友テオドールがルーガン王国でクーデターを起こしてーー

という展開でヴィンス√だとクーデターに、ロラン√だとパメラとクライデル帝國に主軸が置かれてきます。

 

感想として一言だけ言いたいのは、ルーガン王国の人間思い込み激しすぎ。

国自体も遙か昔に国王が女のせいでダメになってから、極端な男社会で女子は発言すら出来ない現状である上に、逆にその際に独立したクライデルは徹底した女性主権で男は部屋で軟禁されて育つって……。挙げ句の果てに登場人物の半数が一目惚れで行動するので、あまりにカオスが過ぎますね。

 

 

以外キャラクター感想になります。

ヴィンス・ルーガン

f:id:cocomarulip:20191018000128j:image

いい谷山紀章でした。

これに尽きる。私が一番好きな声域の紀章だったからオールOKです。

 ヴィンスは国がそうした政策を強いたくせに、「女は無気力無抵抗なつまらない生き物」という偏見に囚われていたので、初対面から誘惑してきたシリーンが新鮮であっさり気になって惹かれる意外とチョロキャラ。

これ、つまりは出会う順番が逆だったらヴィンスはパメラちゃんでも良かったのではと思えてしまってやまないのですが……

件のロランの妹パメラちゃんですが、実はヴィンスに一目惚れして名前を変えて婚約者候補として登場します。彼女も「ヴィンスと結婚したい」って想いだけで国一つ滅ぼしちゃう行動力溢れたおしゃまな女の子なのでヴァンスの国の女の子とはだいぶ違うと思うのですが何故パメラちゃんの事はそんなに拒否るのだろう。

とはいえ、ヴィンス√では後半で、縄抜け脱獄等シリーンの密偵としての実力が遺憾なく発揮されているので、辛い時これだけに美人で有能な女が支えてくれたらそりゃ惚れるよな、ときっかけはともかく最終的にまあ納得できたかなという印象です。

また、後半クーデターから国を奪還していく中で、以前の恐怖政治を悔い改めて民のための王へと成長するヴィンスの姿がきちんと描かれていたのが良かったです。

 

シナリオ最終分岐でBAD END「女王蜂と下僕」に行き着きます。こたらだとテオドールを誘惑するも返り討ちにされて兵士達に凌辱され絶望したシリーンが、ヴィンスまでもヘナタトゥーの効力で支配下に置いて女王に君臨するというEND。執事みたいになっちゃってる谷山紀章が最高です、ご馳走様でした。

 

ハピエンでは兵士達に襲われる前に駆けつけたヴィンスとテオドールは一騎討ちに。ヴァンスは「テオドールが羨ましかった」と告げて斬り伏せて。

ここで情に流されずちゃんとテオドールを殺してクーデターを終結させたヴィンスは素直にいいなと感じました。

最後ヴィンスの戴冠式でシリーンは正式に王妃として国民に示されてめでたしめでたし。

 

 

ロラン・クライデル

f:id:cocomarulip:20191018003241j:image

ロランはクライデルで軟禁されて育ったので世間知らずで、妹のパメラを探す為にシリーンに依頼します。

しょっぱなから妹そっくりの「パメラ人形」を持ち歩いて不穏な会話してるし、分かりやすく壊れているロラン。プレイ中何回「怖いわ」って呟いたからわからない。

ただ、ロランや皇驪は環境が性格を作った部分が大きいのがまだ救いようがあるなと。

ロランは子供の頃から王族の子供が欲しい侍女達の性の相手を強制され、最後その侍女達全員姉である女王様に処刑されたエグトラウマを抱えているので、自分に下心なく接してくれたパメラに依存するようになっていて。

そのお姉さんも王族の血を薄めない為に、兄達と親しい関係にあった事からヴィンスに「汚らわしい」って言われて首はなられちゃうんですけどね。

彼が肉親のパメラ以外で初めて本当に優しくしてくれたシリーンに惹かれるのも理解でききますし、パメラを失った中での新たな依存先になるのも自然な流れですよね。

ロラン√では、妹パメラが別人になってヴィンスの婚約者候補としてお城に来るけれど、再三「パメラでしょ!」ってロランと迫るとブチキレながらクライデル帝國が滅んだ際の真相を教えてくれます笑

パメラちゃん、「ヴィンス人形」に一目惚れしてからヴィンスと結婚する為にテオドールにクライデル城の隠し通路教えて自国を滅亡させるなんて、似たもの兄妹が過ぎるよ。

 

BAD END1

ロランを拒絶したシリーンはそのままロランに絞め殺されてしまう。シリーンの遺体をクライデルの自室まで運んだロランは彼女を蝋人形に仕立てて二人きりの世界で生きていくエンド。

蝋人形に語りかけるロランが通常より2倍くらい生き生きしてるのが草通り越して森でしたし、最後「愛してる」の4段活用してくる立花慎之介の狂気の演技にゾクゾクしたので意外とお気に入りのエンディングでした。

f:id:cocomarulip:20191018134547j:image

蝋人形になっちゃったシリーン、ロランがばちくそ幸せそうで笑っちゃいますね

 

BAD END2

闇オークションで娼館に売り飛ばされたシリーンの身代わりになってロランが男娼になってしまう。シリーンが助けに行くも時既に遅く、堕ちきったロランと享楽に耽るEND

ロランのスチルが妖艶の極みでちょっとドキドキしちゃいましたし、彼が幸せならそれでいいんじゃないでしょうか。

 

HAPPY END

闇オークションでシリーンを落札したのは麟帝国の皇太子だった。丁重な扱いを受けるシリーンをクライデル領主となったロランが迎えに来る。

ルーガン王国という一つの国の辿る結末としてはこのロランEDが1番いい形なのでは、とは思ったのですが、ロランというキャラクターに対して前半でのドン引きを払拭する間もなくシリーンが居なくなってしまい、エンディングで急成長してきたのでまるで何の感慨も湧かなかったのが惜しかったです。

 

 

二重スパイルート

2人の攻略が終わると開く二股END。

スパイ要素は皆無ですが、今回の依頼のもう一段階上の真相が分かります。

 

パメラがヴィンス人形に一目惚れ→パメラがお姉さんを始末する為にテオドールに接触テオドールがパメラに一目惚れ→テオドールがパメラと結婚する為にクーデターを計画していたって、、、、

最後パメラと一緒に捕まったテオドールが「彼女と一緒だから幸せ!」状態を迎えていたのが気持ち悪くて最高でした。

 クーデター未遂が完結した後、結局一晩で二人と関係を持ったシリーンは片方を選べず、ルーガンで2人から奪い合われる乱れた関係が続いてくーーという結末

 

 

個人的にこの3人の関係はいつか破綻するだろうな。

 

 

次は本命第二夜アジアンナイトになります。